2013年6月5日水曜日

【コンサート】アンネ=ゾフィー・ムター ヴァイオリン・リサイタル

たいへん、たいへん、たいへん!!!

すんごかった。


もう、なにがなんだか、骨抜きにされました。


まず、本公演に行くことになったいきさつは割愛するとして、
ムターさんの事は良く知らないまま、「バイオリンの女王と言われちゃう人らしい」くらいの情報しか持たずに行きました。(ホントごめんなさい)
「女王の演奏ってどんな感じなんだろ。どうせ私なんかが聴いたって違いなんか分かんないんだろうけどね~、へっへっへ~」てなくらいでした。
演目はチラシに書いてあったけど、よく見てません。演目知らないまま行きました。


で、

大ファンになって帰って来ました。


いや~、シロウトの私でも分かるくらい、違いました。


♪♪♪♪♪♪♪♪♪

リサイタル開始前のステージ。

壇上にはピアノと、お花だけ。

そこに真っ赤なマーメイドドレスのムター氏が入って来た途端、ステージがパッと華やかに。

「おお!さすが女王、立ち居振る舞いに貫禄ある」(←まだ本当の凄さが分かっていません)

そして演奏が始まった途端に、女王たる所以を思い知らされたワケです。


なんて、素直で、やわらかくて、透明感のある音!
なんというリズム感!
ピアノと息ピッタシすぎる!


ポップスシンガーに例えると、カレン・カーペンターのような透明感のある音と、
セリーヌ・ディオンのような歌唱力を合わせもったような音。

ピアノのオルキス氏の演奏がまたものすごくて、彼の盤石な演奏に支えられて、イヤ支えられてというか本当に「一緒に」弾いている感じです。
よほど一緒に弾き続けてるんだろうな、この2人。

そして、私の経験上ではありますが、一流の演奏家が起こす現象が起きました。
名付けて「演奏者が消える現象」。

初めて実感したのは、フジコ・ヘミングのコンサートに行ったときです。
目の前で確かにフジコ・ヘミングが演奏しているのですが、本人の存在感が消えるのです。
フジコ・ヘミングはご存知の通り、"見た目"の存在感も充分な方です(笑)
ですが、"曲"しか聞こえてこなくなるのです。
聞こえてくる曲は、演奏家の魂が入った演奏なのですが、もうそれも超えて、「そういう曲」としか聞こえなくなってくるのです。

誰かが弾いてる曲、ではなくて、曲自体が聴こえる。
人が鳴らしてる音、ではなくて、楽器が鳴っている。

それがムター氏とオルキス氏の演奏でも起きたワケです。


まだバイオリン歴(聴くのも弾くのも)の浅い私にとっては、プロの演奏というのは一定以上は同じに聴こえてしまいます。CDばっかりでしか聴いていませんので、なおさらです。
バイオリンを弾くようになって初めて、バイオリニスト個人に注目するようになって、まだ少しのバイオリニストしか知りません。

初めてプロのバイオリニストのファンになったのが、庄司紗矢香。
その大好きな紗矢香サマと比べてみても(あまり人の比較はしたくありませんが)
全然違うのです。それは飽くまで"差"ではなく"違い"としましょう。


紗矢香サマに無くムター氏にある圧倒的な違いの、まず最初に(前面に)出るのが、


大人の色香


年齢の差というのは、大きいものです。
こればっかりは、急いで習得できるものではないし、若いからゆえ出せる良さというものもあります。これに関しては、その時その時の本人の色が出せれば良いと思います。

となると、人生経験、人間性、などが演奏に反映されるワケですから、「どんな人間になるか」というのが演奏に大きく影響してくるワケです。

ひいては、演奏を通じてムターさんの人としての完成度が出ていたと思います。
(実際はどんな人か知りませが、少なくとも"バイオリニスト"ムター氏はファンに大してとてもハートフルでした)

敢えて言うなら、紗矢香サマは「演奏家」、ムター氏は「アーチスト」です。

演奏が終わる度、通例どおり拍手のなかステージの登降を繰り返すのですが、その都度、客席の隅々までしっかりと目線を送り、ステージ背面席にもきちんと向き直り、挨拶をしてくれました。

何度もです。

またその笑顔といったら、白い歯を見せ、「楽しい」「嬉しい」「感謝」といった気持ちの伝わる表情です。


も~超~いい人~。(*´∀`)



~演奏中のムターさん観察~

それにしてもムター氏は「ノー肩当て」なんですね。
肩当て無いどころか、タオルもなにもつけてない。
顎当てはついてます。
そして結構、横向きに構えるんですね。
肩当てをつけてないのでかなり自在に角度を変えながら弾くんですが、肩の上と言っていいほどの高さまで上げたり、胸側まで下げたり。

上げ下げと言うより、肩と胸の上を転がしてる感じですかね。

単純に、高い弦を弾く時は楽器を上げ、低い弦を弾く時は楽器を下げる事が多かったようです。
弓との角度もそうだし、音の高低と楽器の高さが合ってるって、合理的ですね!

それからボーイングがものすごくエアリー(笑)
どう言ったらいいのか分かりませんが、普通はもっと、弓が動くというか、揺れるというか、縦横の角度を変えたり、「弓を使って弾いてますよー!」という感じがするとしたら、ムター氏のボーイングはいたって単調。
ちょっとコンタクトレンズの度数が低くて見えづらかったのですが、ただただ、弓をまっすぐ上下にだけ動かしているように見えました。つけるのは強弱だけ、って感じです。


~演奏後~

一曲終えるごとの拍手の量もすごかったですが、もう、アンコールが終わった後の最後の拍手の音の大きさといったら!
立ち上がって拍手する人もいて、まさに拍手喝采。

後から知ったのですが、2階席は結構空席だったらしいですね。(´・ω・`)サミシイ…
にも関わらず、先日のウィーン交響楽団の時より拍手の量はすごかったです。

クラシックコンサートで、客席が一体になった感じって、初めてです。


~ムターさんのサイン貰ってしまった!~

公演終了後、ホールを出ると、なにやら係員の人が大きな声で誘導しています。
「楽屋口でムターさんのサイン会を行います…!」

なにっ?!

もしかしたらそういう権利付きのチケットを持ってる人のみとか、
会場でCDを買った人向けとか、そういうのかな~?と思ったけれど、とりあえず並んでみてダメだったら帰ればいいや、と思って並びましたw

並んだ時にはすでに前にも後ろにも長蛇の列。

一体何人の人にサインする気なんだー?!と心配になりましたが、そのサービス精神がまた、ムターさんの優しさですね~!!

バイオリンを背負って公演を見に来ている人もあり、バイオリンケースにサインして貰ってる人も居たようです。

そしてとうとう私の番がやって来ました。

が、

係員の方がムターさんの左右に取り巻いており、「はい、お預かりします」とサインをするブツを次々に回収して行きます。
あ・・・アナタに渡すのね・・・(汗)
そしてさらにムターさんの隣の係員が、わんこそばのように次々と、ムターさんの手元にサインするブツを差し出します。

ほとんど顔を上げる事もなく、
一心不乱にサインをするムターさん。
なんかカワイソウ・・・


サインされたブツはムターさんの次隣の係員に流され、来場者に返されます。

本当はひと言くらい挨拶と感謝のメッセージを伝えたかったのだけれど、とてもそんな雰囲気ではなく。。。
並ぶ来場者も誰ひとり声を発することもなく、サインを受け取り立ち去るのみ。

なんか・・・異様な雰囲気でした(ーー;)。

それでもせめて、お礼くらいは言ってくれば良かったなぁ・・・orz


【おまけ】
多分なんですけど、途中休憩のトイレから戻る際、通路で秋川雅史さん(千の風になっての人ね)とすれ違いました。
「や~どうも~!」なんて良く通る声がして、「あ、なんか芸能人的雰囲気がする」と思って見上げたら彼だったのですが、すみません、あまりお顔を拝見したことないので多分、です。


2013年6月4日 サントリーホール


6 件のコメント:

  1. わぁ~!!!いいなぁ~!!!
    私は「小澤征爾指揮」のチャイコフスキー・バイオリン協奏曲のcdを持ってます。ムターさんのチャイコン素敵ですよ~♪
    ムターさんのCDはそれしか持ってないのですが、と~っても素直なバイオリンで大好きですv
    私も彼女の生音に触れてみたいわ~♪

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    1. ぽうさん

      ありがとうございます!
      マエストロ・オザワxムターさんのチャイコン、私も聴きたい~。
      CD買います!(笑)
      コンサート会場に世界のマエストロとムターさんが共演した際の写真が展示してありました。小澤さんとの写真もありましたよ!

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  2. 生で聴いてみたくなりました!(^o^)
    京都、観光ついでに弾いて帰ってくれないかなぁ(><
    なんて思うことすらおこがましい…(笑

    ムターさん、バイオリン弾きながらの指揮もするそうですね。
    指揮がどれほど大変なのか全く分からないのですが、左手意識するとボーイングがぐちゃぐちゃになる僕としては想像のつかない世界です…。

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    1. Junさん

      そうそう、ムターさん、指揮の勉強もなさったらしいですね!
      なおさら曲への理解が深まって円熟の極みということでしょうか…

      いいですねぇ、京都の夜の古刹なんかを背景に野外コンサートなんて、ウフ。ムターさんならきっと寺映えすることでしょうw

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  3. ツキコさん

    こんにちは。そんなよかったんですね!!
    大感動のコンサートだったみたいで、羨ましいですねー。

    >プロの演奏というのは一定以上は同じに聴こえてしまいます。CDばっかりでしか聴いていませんので、なおさらです。

    これ、わかります。みんな上手だしね、って思っちゃうんですが・・
    ツキコさんのレポよんで、
    次のコンサートは絶対行ってみたいな〜と思いました!

    あと、ムターさん、ファンを大切にする人なんですね。
    意外でした!(申し訳ない)こういう人大ファンになっちゃいますね。


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    1. うみさん

      はい、ムターさんとオルキスさんの愛♥の溢れる演奏でした。
      トップソリストのなかでも更にレベルが高いと余裕(?)が生まれるのでしょうか…いや、余裕が生まれるほどだからトップレベルなのですねw
      次回ムターさんが来日する際には行けるといいですね~!

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